弊社のワインの商標名(ブランドネーム)は“ルバイヤート”です。
昭和32年のある日、三代目社長、大村忠雄の知人で内務省の関川氏が、詩の先生の日夏耿之介(外部リンク)氏を連れてワイナリーに遊びにみえました。
そこで丹精こめて造ったワインをお出ししたところ、「これは美味しい」と大変喜んでいただきました。
後日、商標名の命名を関川氏を通じて日夏氏に依頼したところ、快く引き受けていただき、次のお手紙を送っていただきました。
啓上
御清健賀上ます
関川君よりの来信にて貴社愈愈(いよいよ)発展 葡萄酒を大かゝ(り)に売出されるにつき 老生に命名を依頼して来られたる由、依て左ノ如く愚考申上げます。
二種と仮に定め、第一はインテリ向き
これを
RUBAYAT ルバイヤット
と命名、ペルシャ十一世紀天文学者詩人 Omar Khayyám オアマ・カイヤムの詩集の名にて、
原名はルボウイヨウトと発音するが、ルバイヤットの方が語呂もよく通りがよく、ブドーの原産地の人にて非常に葡萄酒の好きな詩人で ブドー酒と美女とを歌つた詩が多く 卋(世)界的大詩人の一人で、日本のインテリは皆その名を知る故、ルバイヤットと名附けて発売したら、必ず「やったな」と思ふでせう。
第二は一般大衆(向)きで
ENCHANTÉ アンシャンテ これはフランス語で、気持ちのよい、ウットリする、等の意ですから、フランス好みの大衆には可(よ)いでせうか。
右二種選びましたが、尚黄色系統の新発売品には シャリオ・ドオル CHARIOT D’OR(金の馬車といふ意)といふ名も乙でありませう。
気に入らなかつた(ら)お棄て下さい。どれも。
右
草々
日夏老生
このようないきさつで弊社の商標名(ブランドネーム)は“ルバイヤート”となりました。
日夏氏よりいただたお手紙は、ワイナリー見学コースのギャラリーに展示しております。
ワイナリーにお越しの際には、ぜひご覧ください。
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酒をのめ、それこそ永遠の生命だ、
また青春の唯一の効果(しるし)だ。
花と酒、君も浮かれる春の季節に、
たのしめ一瞬(ひととき)を、それこそ眞の人生だ!
オマル・ハイヤーム 著 小川亮作 訳
「ルバイヤート」岩波文庫より(ISBN9784003278314)